子供の腸内環境を整える重要性と効果的な腸活方法

美容と健康

「あなたの腸内環境は整っていますか?」
この問いに、どれだけの大人が自信をもって「はい」と答えられることでしょうか。

日本では「腸活」という言葉ができるほど、近年、「腸内環境」の重要性が認知され始めていますが、その腸内環境は、いつ形成されているのか、それは、なんと驚きの3歳までに決まると言われています。

今回は特に、子供の腸活についてご紹介しようと思います。

腸内環境は3歳までに確立される

腸内には、私たちの身体を構成する細胞の数よりもはるかに多くの腸内細菌が存在しています。その数多くの腸内細菌が、グループごとに腸壁に張り付いており、「腸内フローラ」というお花畑のような生態系の状態を作りあげています。

この腸内細菌叢には、次のような3種類の菌が存在しています。

  • 善玉菌
  • 日和見菌
  • 悪玉菌

それぞれの菌の理想的なバランスは2:7:1と言われており、悪玉菌だからダメで、善玉菌だから良いといった単純な話ではなく、それぞれのバランスこそが重要なのです。そして様々な研究結果から、この腸内細菌叢のベースは概ね3歳までに確立されると言われています。

3歳といえば、離乳期を過ぎて、大人と変わらない食事を食べている頃。ということは、親である大人が食べるものに影響されて、子供の腸内は決まってしまうということです。そう考えると大変なプレッシャーを感じませんか?

腸内細菌が影響するもの

腸内細菌は健康状態や心身の発育など、多岐の影響を人に及ぼしますが、そのうちの幾つかをご紹介しましょう。

1: アレルギーや糖尿病のリスクを低減する 

現代社会で増え続ける「アレルギー」。軽いものも含めるとこどもの3人に1人が何らかのアレルギーにかかっていると言われています。これらのアレルギーには腸内環境が大きく影響しています。腸壁には、栄養素を吸収するためのザルの目のようなものが存在します。何らかの要因により腸内環境が乱れてしまうと、このザルの目が大きくなってしまい、通常よりも分子量が大きい毒素などをそのまま吸収してしまうことになります(「リーキーガット症候群」という)。すると、身体がアレルギー反応を示すのです。

また、ザルの目が大きくなる事で糖質の吸収が素早くなり、血糖調節障害や「糖尿病」のリスクも高くなると考えられています。さらに、私たちの身体を守る「免疫反応」にも腸内環境が関わっています。免疫反応の強弱を調節しているのが、腸内細菌だと言われているのです。

2: 性格形成

実は腸内細菌と脳には大きな影響を与えているあることが研究でわかってきています。

マウスを使った研究では、腸内細菌が行動にまで影響を与える場合があることがわかっていいます。例えば、腸内細菌をまったくもたないように繁殖させたマウスは、通常の腸内細菌をもつマウスと比べて非社会的な行動が多くなり、ほかのマウスと過ごす時間が少なくなるといいます。

また同様の影響として、糞便を別の個体に移植して腸内細菌を移す「糞便移植」を行ったケースでも、不安傾向の強いマウスに大胆な性格のマウスの糞便微生物を移植したところ、移植されたマウスはより社交的な行動をとるようになったことが確認されたそうです。

イライラしやすい子供の腸内細菌叢は、3歳までに食べた食べ物が影響しているかもしれません。

3 : 発達障害、メンタルヘルス

発達障害の中でも「自閉(自閉症)スペクトラム症」と診断された人の腸内は、そうでない人に比べ炎症が多くみられたという結果が出ています。あるアメリカの自閉症団体では、以前から「グルテン・ガゼインフリー」という小麦や乳製品を除去した食事法が実践されてきました。

その背景には、(小麦の)グルテンや(乳製品の)ガゼインが腸内を荒らし、その炎症が脳の炎症を引き起こすと考えられていることがあります。日本ではあまり認知されていませんが、腸を整える事で自閉(自閉症)スペクトラム症の症状が回復した事例も報告されています。

さらに、大切な試験や面接などの前にお腹が痛くなるというケースを見聞きしたり、経験したりしたことはありませんか?経験的に、ストレスが腸に影響を与えることはイメージでしやすいでしょう。同時に、腸内環境の悪化もまた不安や不眠などを引き起こすのです。この様な腸と脳の密接な関係性は、「腸脳相関」と呼ばれています。

さらに、腸内では幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」やビタミン類も生成されており、それが気分の安定や快眠に繋がるとされています。

4 : 肌のコンディション

東洋医学では、腸は肌と密接に関わっていると考えられています。腸内環境が悪くなると、肌荒れが起きやすくなります。たとえば、鼻の周辺にできた吹き出物は、腸内環境の乱れが要因と言われています。

このように、腸内環境はお肌の健康やアレルギー、性格形成、メンタルヘルスにまで大きな影響を与えているのです。その他にも、腸内環境の悪化が動脈硬化、肥満、大腸がん、肝臓がん、大腸炎、多発性硬化症等といった疾患との関連性があることが解ってきました。

その人の一生を左右するといっても過言ではない程、人生の質に深く関係する腸内環境。可愛い我が子の腸内環境は、出来る限り、整えてあげたいもの。そのためには、腸内環境のベースが出来上がるとされる3歳までの早いうちに何らかの対策を取ることが重要だと考えられるのです。

腸内環境を整える方法

他の記事でも何度か紹介してきた「腸活」の方法ですが、子供の場合はどんなことをしたらいいでしょうか?

1: 加工食品をやめ、なるべく手作りの自然な食品を食べさせましょう

加工食品に含まれる添加物は、腸内環境を荒らしてしまいます。それでなくても小さな体ですから、大人よりも影響は大きいです。出来合いのお菓子や甘いものを避け、なるべく天然の素材を調理するのがいいでしょう。例えばさつまいもを蒸したり、フルーツや野菜を丸齧りさせたりするのがおすすめです。

2: 日本古来の発酵食品を取り入れてみましょう

発酵食品が体に良いとはよく耳にするフレーズですが、意外な落とし穴もあるのです。発酵食品といって、ヨーグルトやチーズを沢山食べさせる人がいますが、日本人の7~8割は「乳糖不耐症」といって乳製品の分解が上手くできないと言われています。

日本人の身体にあった発酵食品を摂ることを意識し、昔から食べ続けられていた「漬物」や「味噌」「納豆」といった伝統的な発酵食品を選ぶようにしましょう。

同時に注意したいのは、市販の発酵食品には意図的に発酵を止めてあり、しかも食品添加物が加わっているものが多いこと。食品表示を良く確認し、発酵に関わる菌類がきちんと生きていて、遺伝子組み換えなどの素材が使われていないものを選ぶ必要があります。

3: 微生物と触れ合いましょう

現在の生活スタイルでは、土に触れる機会がめっきり少なくなりましたが、土いじりは腸内環境を整える観点からも有効です。

土に含まれる土壌菌と触れ合うと、体内に良い菌を取り込むことができるからです。都会で農作業体験などの機会は少ないかもしれませんが、簡単にできるベランダガーデンから始めてもいいかと思います。

また、「ぬか漬けを混ぜる」ことや、「ペットと触れ合う」という行為も、実は良い菌と触れ合うことができます。

「除菌グッズ」がよく出回っていますが、いき過ぎた清潔志向によって微生物を排除するのは、腸内環境を整えるという観点で見ると考えものです。外出後の手洗いでも、殺菌効果の強い石鹸ではなく、昔ながらの無添加石鹸を使うことをお勧めします。

4: 母から子へと良質な腸内環境を引き継ぐ

赤ちゃんが生まれる時、産道を通る過程で赤ちゃんは母親の腸内細菌を身体の中に取り込んでいることをご存知でしょうか。つまり、産前産後の母体の腸内環境を整えておくことは赤ちゃんの生後の腸内環境作りにおいて、とても重要なのです。

特に妊娠中は便秘になりがちですが、出産に備えて解消しておきましょう。さらに知っておいていただきたいのは、母親が子供とスキンシップを取ることで、赤ちゃんは母親のいい菌を取り込んでいるということなので、母乳育児の場合も、そうでない場合も、出来るだけ沢山我が子と触れ合うことで赤ちゃんの腸内細菌を豊かにしてあげましょう。

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