ケトジェニックダイエットをやめた理由:日本人に適した食生活とは

美容と健康

よく私の過去のダイエット動画をご覧になって、ケトジェニックダイエットに興味を持った方から「今でもケトン食を続けていますか?」とメッセージで質問されます。結論から言うと、答えはNOです

ダイエットが終了し、日本に帰ってきてからは玄米中心の生活を送っています。

ケトジェニックダイエットとは

ケトジェニックダイエットは、脂質を中心にした食事で、ケトン回路を活性化させてエネルギーを産生するダイエット法です。

糖質を極力抑え、身体が脂肪を燃焼してケトン体をエネルギー源とする状態(ケトーシス)を目指します。瞬間的なエネルギー供給に向いているため、一定期間続ければ必ずダイエット効果は出ます

しかし、このダイエットは長期間続けるものではないと考えています。以下にその理由を詳しく説明します。

ケトジェニックダイエットの問題点

持久力への影響

ケトジェニックダイエットは、長時間の持久力が求められる活動には適していません。ケトン体をエネルギー源とするこの食事法は、糖質の代謝を抑えるため、体がエネルギーを効率的に使いにくくなり、筋力や耐久力の低下が懸念されます。

体臭の変化

ケトン体が増加すると、体臭が強くなる傾向があります。これはケトン体の一種であるアセトンが、汗や息から排出されるためです。私自身も、ケトジェニック食を続けていたとき、体臭が欧米人のように強くなるのを感じました。

疲労回復の遅れ

ケトジェニックダイエット中は、疲労が抜けにくく、疲労回復が遅いと感じることが多くありました。これは糖質不足によるエネルギー代謝の低下が原因と考えられます。

米中心の食生活への移行

私がケトン食をやめて、再び米を食べるようになったのは、以下の理由からです。

日本人の身体特性

日本人は農耕民族としての歴史を持ち、長時間の労働に適応した遅筋繊維が発達しています。これにより、持久力が求められる活動において、高いパフォーマンスを発揮できます。日本が数多くのマラソン金メダリストを輩出してきた背景には、こうした身体特性が関係しています。

エネルギー効率の向上

米を食べるようになってから、長時間の活動がスムーズになり、運動時のパフォーマンスが向上しました。日常生活でも疲れにくくなり、エネルギーが持続する感覚を得ています。

健康的な体型維持

痩せる目的が美容ではなく、健康のためであれば、体型や筋肉を健康的に維持していかなければなりません。そのためには、自分の体に合った食生活を選ぶことが最も重要です。

エネルギー代謝の流れ

米を食べてからエネルギーが生成されるまでの流れを詳しく見てみましょう。

  1. 口腔内での消化(デンプン→マルトース):約5〜30分
    • 唾液アミラーゼによる消化は、咀嚼している間すぐに始まります。
  2. 胃での一時的な停滞:約2〜4時間
    • 胃では主な消化は行われませんが、食べ物を小腸に少しずつ送り出す準備をします。
  3. 小腸での消化(マルトース→ブドウ糖)と吸収:約2〜3時間
    • 膵臓アミラーゼによる消化と、小腸での吸収が行われます。
  4. 細胞内での代謝(ブドウ糖→ATP):数分以内
    • 一旦ブドウ糖が血液中に入ると、解糖系、クエン酸回路、電子伝達系による代謝は非常に速く、数分以内に進行します。

つまり、米を食べてから完全にエネルギーとして利用可能になるまでには、合計約4〜7時間程度かかりますが、実際には食べ始めてから30分程度で一部のブドウ糖が吸収され始め、エネルギーとして利用可能になります。そして最終的には11時間くらいかけて全てをエネルギーとして使うことができます。

このように、食事をしてしばらくすると徐々にエネルギーが補給されていく感覚が得られ、これが疲れにくい理由です。

TCAサイクルの活性化

米を食べることで活発になるTCAサイクル(クエン酸回路)は、体に蓄積された脂肪を燃焼させるのにも効果的です。特に、ゆっくりと吸収される米の糖質は、急激な血糖値の変動を防ぎ、安定したエネルギー供給を可能にします。

糖新生への影響

米中心の食生活は、体のエネルギーを効率よく循環させ、糖新生(肝臓で糖を新たに作るプロセス)に依存しない健康的な代謝を促します。糖新生が多発すると、筋肉が分解されやすくなり、サルコペニア(筋肉減少症)のリスクが高まりますが、米を適量摂取することで、このリスクを軽減できます。

米中心の食生活で得られた効果

私自身も、米中心の食事に戻ったことで、以前よりも活力に満ちた日々を過ごせるようになりました。

  • 持久力の向上:長時間の活動が可能になり、疲労感が減少した。
  • 運動パフォーマンスの向上:トレーニングやスポーツのパフォーマンスが上がった。
  • 日常生活でのエネルギー維持:仕事や家事などでも疲れにくくなった。
  • 精神的な安定:糖質を適度に摂取することで、脳の働きが良くなり、集中力が増した。

日本人としての身体と心の特性を理解し、米を食べることの素晴らしさを改めて感じています。

まとめ

ケトジェニックダイエットは、短期間で効果を出すための一つの手段として有効ですが、長期間続けることによる持久力の低下や筋力低下、体臭の変化などの問題があります。

一方で、米中心の食生活は、日本人の身体特性に合致し、持久力やエネルギー効率、筋力維持に優れています。伝統的な食文化を尊重し、自分の体に最も適した食事法を選ぶことが、健康的な生活を送る上で重要です。

痩せることが目的であっても、それが健康を損なう方法であっては意味がありません。健康的に体型や筋肉を維持し、心身ともにバランスの取れた生活を送るために、自分の身体に合った食生活を選びましょう。

日本の素晴らしいものたち 小恰好商店

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