現代の日本では、急須でお茶を淹れて飲む人が年々減少しています。総務省家計調査によれば、2人以上の世帯で1990年には年間で1,291gの緑茶を購入していたのが、2014年には892gと約30%も減少しました。そして、2024年1~6月の購入量はわずか334gで、年間換算しても668gと減少傾向は止まっていません。
一方で、ペットボトルのお茶に使われる緑茶飲料の生産量は、1995年の約45万キロリットルから2014年には約250万キロリットルと5倍以上に増加しています。お茶を気軽にペットボトルで飲むという傾向が年々顕著になっているのです。
しかし、その便利さの裏には見過ごせない問題があります。それは、ペットボトルのお茶に添加されているビタミンC(L-アスコルビン酸)の品質と量です。
ペットボトル茶に添加されるビタミンCの目的とは
ほとんどのペットボトルのお茶にはビタミンCが添加されています。緑茶飲料メーカーのホームページでは、その添加目的を「茶葉に含まれているビタミンCが加工や抽出の段階で失われてしまうので、それを補うため」と説明しています。しかし、実際にはビタミンCには変色防止などの酸化防止効果があり、それが主な添加目的であると考えられます。
もし栄養強化が目的の場合、用途名は表示しなくても良いという法律のカラクリがあります。しかし、ビタミンCに酸化防止効果があることを否定していない以上、原材料名表示では「酸化防止剤(L-アスコルビン酸)」ときちんと添加物として表示すべきではないでしょうか。
合成ビタミンCと天然ビタミンCの違い
L-アスコルビン酸は、あらゆる食品で利用されています。例えば、食肉製品では肉1キログラムに0.5グラム添加することで変色防止効果を発揮し、緑茶やジュース類では0.02~0.04%の添加で褐変防止や風味保持効果が得られます。
多くの消費者は、ビタミンCの一種であるL-アスコルビン酸は安全で毒性もないと考えています。しかし、世界保健機関(WHO)では、合成ビタミンCであるL-アスコルビン酸の1日摂取許容量を体重1キログラムあたり0.25グラムと定めています。
金沢工業大学研究グループの調査によると、市販されている主な緑茶飲料500ミリリットル当たりのビタミンC含有量は平均で100ミリグラムです。厚生労働省が定めるビタミンCの1日推奨摂取量が100ミリグラムであることを考えると、ペットボトルの緑茶を1本飲むだけでその量に達します。しかも、それは天然のビタミンCではなく、合成ビタミンCであるという点が問題なのです。
合成ビタミンCの健康への影響
合成ビタミンCと自然の食品に含まれるビタミンCは、全く異なるものであると理解しておくことが健康のためです。例えば、がん細胞を作る原因となる活性酸素について、ミカンなどに含まれる天然のビタミンCはほとんど発生させないのに対し、人工的に作られた合成ビタミンC(L-アスコルビン酸)は大量に発生させることがわかっています。
また、天然のビタミンCには活性酸素の発生を抑える酵素が含まれている点も注目すべきです。酵素は分子構造式には現れないため、いくら合成ビタミンCが天然のビタミンCと同じ化学式であっても、安全性が同じとは言えないのです。
実際に、合成ビタミンCを成人に1日3グラムずつ3カ月間投与しても異常は見られなかったが、6グラムに増やすと悪心、嘔吐、下痢、顔面紅潮、頭痛、不眠などの症状が現れたという報告があります。さらに、幼児では皮膚湿疹がよく見られるとの報告もあります。
中国製添加物への不安
さらに問題なのは、現在日本国内で使用されているL-アスコルビン酸の90%以上が、価格が国産の半値以下である中国製であるという事実です。数年前から、L-アスコルビン酸を含めて中国製の添加物に対して「質が悪すぎる」という声が添加物業界から上がっています。
中国国内の報道によると、粗悪な添加物が原因で死者まで出ているとのことです。日本への輸出品が、日本の食品衛生法で定められた基準に不適合として水際で廃棄処分になったケースも少なくありません。しかし、水際での摘発には限界があり、消費者が自ら身を守るしかないのが現状です。
自分の健康は自分で守る
ペットボトルのお茶や飲料スタンドで気軽にお茶を買う人も多いでしょう。しかし、人工甘味料や酸化防止剤など、何が入っているかわからないものを口にしないことが最善の策かもしれません。
お茶が飲みたければ、自分で淹れるのが一番です。できれば有機で育てられたお茶を選び、粉末でそのまま飲める抹茶なら、お茶の素晴らしい栄養をすべて丸ごと摂取できて安全です。
急須でお茶を淹れる時間は、心を落ち着かせる大切なひとときでもあります。便利さを追求するあまり、本当に大切なものを見失っていないか、今一度考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
急須でお茶を淹れる習慣が減少し、ペットボトル茶が主流となる現代。しかし、その背後には合成ビタミンCの過剰摂取や中国製添加物の品質問題など、見過ごせない健康リスクが潜んでいます。自分や家族の健康を守るためにも、お茶はできるだけ自分で淹れ、安全なものを選ぶことが重要です。
コメント