最近、腸にいい食事をしているのにどうもお腹が張る、オナラがよく出る、ゲップが出る、下痢と便秘を繰り返すなどという症状に悩まされている方はいませんか?
その原因の一つに「SIBO(Small Intestinal Bacterial Overgrowth、小腸内細菌異常増殖)」という疾患があるのをご存知でしょうか。通常、腸内の細菌はほとんどが大腸に存在し、その数は約100兆個と言われています。善玉菌と悪玉菌、日和見菌のバランスが健康に影響することはよく知られていますが、小腸についての役割や影響についての研究はあまり進んでいませんでした。
この記事では、小腸の役割からSIBOの原因、症状、影響、そしてその治療法や予防策について詳しく解説します。
小腸の役割とSIBOの発生メカニズム
小腸とはどんな器官か?
小腸は栄養吸収を主な役割とする消化器官です。微絨毛という絨毯状の粘膜が表面を覆い、食物から効率よく栄養を吸収します。本来、大腸と違って、細菌の数は少ないのが正常です。
しかし、さまざまな原因で小腸に細菌が異常増殖すると、栄養吸収や消化機能に支障をきたし、不快な症状を引き起こします。
SIBOの症状
SIBOが引き起こす主な症状は次の通りです:
- お腹の張りやガス(オナラ)の増加
- 下痢と便秘の繰り返し
- 食後の膨満感
- 腹痛や不快感
- 食欲減退
また、放置すると腸粘膜が炎症を起こし、リーキーガット症候群や脂肪肝、心血管疾患のリスクを高める可能性があります。
「過敏性腸症候群」の方は要注意!
実はSIBOはそれ単体で起こる疾患ではなく「過敏性腸症候群」と診断されている方の7~8割に、このSIBOを合併しているとも言われています。
お腹の張りやガスが多いなどの症状が重なっているため、SIBOが見逃されやすいのです。実際にSIBOというのは病名ではないので、お医者様でも知らない方が多いのです。
小腸が張ってくると、細胞間のつなぎ目が緩くなり、リーキーガット症候群と呼ばれる状態にもなりやすくなります。これにより、血管内に様々な炎症物質が侵入しやすくなり、脂肪肝や心筋梗塞を発症しやすくなる可能性があります。当然、小腸内でメタンガスや水素ガスが発生し、お腹の膨満感やオナラの原因にもなります。
SIBOの原因とは?
SIBOの発症には複数の要因が関与しています。
腸の運動機能低下
腸のぜん動運動が低下すると、食べ物の移動が遅くなり、細菌が小腸内に定着しやすくなります。
抗生物質の使用
抗生物質は腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスを乱し、小腸での細菌増殖を引き起こす場合があります。
糖質の過剰摂取
発酵性の糖質(FODMAP)が多い食事を摂取すると、細菌がそれをエサにしてガスを発生させる可能性が高まります。
免疫機能の低下
免疫力が低下すると、腸内の細菌コントロールが難しくなり、SIBOを引き起こすリスクが高まります。
治療と食事療法:低FODMAP食の導入
SIBOの改善には、食事療法が重要な鍵を握ります。中でも、「低FODMAP食」は特に効果が高いとされています。
FODMAPとは?

FODMAPは以下の5つの糖質グループを指します:
- 発酵性の糖質 : はちみつ、パンなど
- 発酵性オリゴ糖:玉ねぎ、にんにく、小麦など
- 二糖類:乳糖を含む乳製
- 単糖類:フルクトースを含む果物(リンゴ、マンゴーなど)
- 糖アルコール:キシリトール、ソルビトールなどの人工甘味料
見ていただいてわかる通り、発酵食品が含まれますので、腸活のために必死で食べている方は、少しお休みして、腸内を休ませてあげる必要があります。
低FODMAP食の実践方法
- FODMAPを避ける期間を設ける
まず、3週間ほど低FODMAP食を徹底します。この期間中は発酵性の糖質を避け、腸の炎症やガス発生を抑えることを目指します。 - 再導入の段階
3週間の後、1つずつ食品を再導入し、自分に合う食材を見極めます。 - 長期的な管理
体調を確認しながら、低FODMAP食と通常の食事をバランスよく取り入れます。
食事療法以外の対策
- 腸内運動を促進
適度な運動を取り入れることで腸の動きを活性化し、SIBOの改善をサポートします。 - ストレス管理
ストレスは腸内環境に悪影響を与えるため、リラックスできる時間を確保しましょう。 - 専門医の診察を受ける
SIBOの診断と治療には専門的な検査が必要な場合があります。症状が改善しない場合は医師に相談してください。
注意点とまとめ
この病気はまだまだお医者様でも知らない人が多いので、簡単に抗生物質などを処方されてしまう場合があります。抗生物質を飲むと大腸内の腸内細菌が乱れて、さらに治りを悪くし、慢性化してしまうので、お気をつけくださいね!
SIBOは、過敏性腸症候群(IBS)やリーキーガット症候群とも関連し、放置すると他の健康リスクが広がる可能性があります。
「腸は第二の脳」とも呼ばれるほど、全身の健康に大きな影響を与える重要な器官です。自分の腸の声に耳を傾け、不調を感じたらすぐに病院!ではなく、ご自身の食事習慣や生活習慣を見直すことが、健康な毎日を取り戻す第一歩です。
正しい知識を持ち、腸内環境を整えて、快適な生活を目指しましょう!

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